美味しい香りと路面電車に揺られて。活気あふれる高知を歩く。

高知の街には、不思議な懐かしさと、心がほどけるような温かさがあふれています。
街中をガタンゴトンと走る路面電車は、忙しい日常を忘れさせてくれるスローモーションな時間を運び、
どこからか漂う美味しそうな香りが、自然と足を止めさせます。

名物の鰹のたたきに始まり、地元の新鮮な海の幸や、素朴な郷土料理たち。
そんな高知の「おいしい」がぎゅっと詰まったひろめ市場では、地元の人も観光客も分け隔てなく、笑顔と賑わいが広がっています。

今回は、そんな高知の街を、路面電車に揺られながら、
美味しいものを求めて歩いた旅をご紹介します。
高知らしい空気を感じながら、心とお腹を満たす旅へ、出かけてみましょう。

TEXT BY E.I

地元の足、「とさでん交通」

高知の街を訪れると、まず耳に飛び込んでくるのは、ガタンゴトンと鳴る電車の音。
高知市内をゆったりと走る「とさでん交通」の路面電車は、地元の人たちの生活に溶け込みながら、観光客にとっても旅情を感じさせる特別な存在です。

その歴史は100年以上。
日本でも数少ない、今なお現役で走り続けるレトロな路面電車として、全国の鉄道ファンからも愛されています。
クラシックなデザインの車両から、カラフルでポップなラッピング電車まで、走る姿はまるで街に彩りを添える動くアートのよう。

高知の路面電車が走る範囲は、市街地だけでなく、海沿いや住宅街にも広がっており、
車窓からは高知城やはりまや橋、日曜市など、観光スポットも楽しめます。
どこかのんびりした速度も、旅の気分にぴったり。

移動手段としてだけでなく、「乗ること自体が旅の思い出になる」。
そんな魅力が、高知の路面電車には詰まっています。

高知市内を走る路面電車

高知城 — 歴史を感じる名城を歩く

路面電車を降り、石畳を踏みしめながら坂道を上っていくと、
緑に包まれた高知城が見えてきます。
その凛とした佇まいに、訪れた誰もが心を奪われるはず。

高知城は、1601年、土佐藩の初代藩主・山内一豊によって築かれました。
彼は、関ヶ原の戦いの後、徳川家康から土佐一国を与えられ、
この地に新たな城と城下町を築く大事業を担ったのです。

最大の見どころは、やはり「現存天守」。
全国に現存する12城のなかでも、天守だけでなく本丸御殿や追手門までもが当時のまま残されているのは、実はとても珍しいこと。
まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような空間が広がっています。

石垣は大ぶりな野面積み(のづらづみ)で、武骨な力強さがあり、
その上にそびえる白亜の天守は、晴れた空に映えてとても美しい。
天守閣へ上がると、そこからは高知市街が一望でき、
眼下には緑豊かな城下町、さらに遠くには太平洋を望む大パノラマが広がります。

城内の随所には、歴史の痕跡が息づいています。
たとえば、本丸御殿の畳敷きの大広間では、
藩政時代に行われていた政務や武士たちの日常を想像することができます。

石段から見える高知城

ひろめ市場で味わう「高知の賑わい」

高知市内を観光した後は、ひろめ市場にぜひ寄ってみてはいかがでしょうか。

ひろめ市場は、高知の食文化がギュッと詰まったグルメスポット。
市場といっても、いわゆる「お土産市場」ではなく、屋台スタイルの飲食ブースがぎっしり並び、好きなものを好きなだけ楽しめる場所です。

朝から晩まで、地元の人も観光客も一緒になって賑わい、テーブルを囲めば自然と会話が生まれます。
鰹のたたきはもちろん、串焼き、餃子、ラーメン、お刺身、クラフトビールまで、ジャンルもバリエーション豊富。

「お酒片手に何軒もハシゴする」という楽しみ方も高知らしいスタイル。
気取らず、にぎやかに、自由に。そんな雰囲気が、ひろめ市場の魅力です。

多数の屋台が並ぶひろめ市場
激しく燃える藁焼き
輝く鰹のたたき

桂浜と坂本龍馬 — 海と空に想いを馳せて

桂浜は古くから月の名所として知られ、多くの詩人や歌人に愛されてきました。
白い砂と松林のコントラスト、そしてどこまでも続く水平線。
晴れた日には、空と海の青が溶け合うような絶景が広がり、
訪れた人々を静かな感動へと導きます。

浜辺を歩いていると、自然と目に飛び込んでくるのが、
太平洋を背に立つ、堂々たる坂本龍馬像。
台座も含めて13.5メートルにも及ぶこの像は、
「世界へと飛び出す志」を表していると言われています。
胸を張り、遠くを見つめる龍馬の姿には、
故郷・土佐への誇りと、広い世界への憧れを感じます。

桂浜を見つめる坂本龍馬像
強いまなざしの坂本龍馬像
太平洋を一望できる桂浜

高知の伝統にふれる — 土佐の郷土玩具たち

「鰹車」は、その名の通りカツオの形をした車のおもちゃ。
高知の人々にとって、カツオがいかに身近で大切な存在だったかがわかります。

また、「鯨船」は、かつて高知で盛んだった捕鯨文化を伝えるもの。
勇ましく海に繰り出す漁師たちの姿を、色とりどりの木製の船に表現しています。

さらに「鯨車」も、鯨をモチーフにした可愛らしい玩具で、
どれも手作業で丁寧に作られた温かみがあります。

鰹車
鯨船
鯨車

美味しさと温かさに包まれる高知旅

路面電車に揺られて、賑わうひろめ市場で舌鼓を打ち、
歴史が息づく高知城や桂浜を訪れ、
そして土佐の郷土玩具にふれる──

高知の旅は、ただ「観光地を巡る」だけではありません。
そこに流れるのは、人の温かさ、歴史の重み、美しい自然の香り。
ゆっくりと時間が流れるなかで、心がふわりとほどけていくような、
そんな特別な体験が待っています。

美味しいご飯と、心を揺らす出会い。
次の旅先に、高知を選んでみませんか?

高知の街には、不思議な懐かしさと、心がほどけるような温かさがあふれています。
街中をガタンゴトンと走る路面電車は、忙しい日常を忘れさせてくれるスローモーションな時間を運び、どこからか漂う美味しそうな香りが、自然と足を止めさせます。

名物の鰹のたたきに始まり、地元の新鮮な海の幸や、素朴な郷土料理たち。
そんな高知の「おいしい」がぎゅっと詰まったひろめ市場では、地元の人も観光客も分け隔てなく、笑顔と賑わいが広がっています。

今回は、そんな高知の街を、路面電車に揺られながら、美味しいものを求めて歩いた旅をご紹介します。
高知らしい空気を感じながら、心とお腹を満たす旅へ、出かけてみましょう。

TEXT BY E.I

地元の足、「とさでん交通」

高知の街を訪れると、まず耳に飛び込んでくるのは、ガタンゴトンと鳴る電車の音。
高知市内をゆったりと走る「とさでん交通」の路面電車は、地元の人たちの生活に溶け込みながら、観光客にとっても旅情を感じさせる特別な存在です。

その歴史は100年以上。
日本でも数少ない、今なお現役で走り続けるレトロな路面電車として、全国の鉄道ファンからも愛されています。
クラシックなデザインの車両から、カラフルでポップなラッピング電車まで、走る姿はまるで街に彩りを添える動くアートのよう。

高知の路面電車が走る範囲は、市街地だけでなく、海沿いや住宅街にも広がっており、
車窓からは高知城やはりまや橋、日曜市など、観光スポットも楽しめます。
どこかのんびりした速度も、旅の気分にぴったり。

移動手段としてだけでなく、「乗ること自体が旅の思い出になる」。
そんな魅力が、高知の路面電車には詰まっています。

高知市内を走る路面電車

高知城 — 歴史を感じる名城を歩く

路面電車を降り、石畳を踏みしめながら坂道を上っていくと、
緑に包まれた高知城が見えてきます。
その凛とした佇まいに、訪れた誰もが心を奪われるはず。

高知城は、1601年、土佐藩の初代藩主・山内一豊によって築かれました。
彼は、関ヶ原の戦いの後、徳川家康から土佐一国を与えられ、この地に新たな城と城下町を築く大事業を担ったのです。

最大の見どころは、やはり「現存天守」。
全国に現存する12城のなかでも、天守だけでなく本丸御殿や追手門までもが当時のまま残されているのは、実はとても珍しいこと。
まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような空間が広がっています。

石垣は大ぶりな野面積み(のづらづみ)で、武骨な力強さがあり、その上にそびえる白亜の天守は、晴れた空に映えてとても美しい。
天守閣へ上がると、そこからは高知市街が一望でき、眼下には緑豊かな城下町、さらに遠くには太平洋を望む大パノラマが広がります。

城内の随所には、歴史の痕跡が息づいています。
たとえば、本丸御殿の畳敷きの大広間では、藩政時代に行われていた政務や武士たちの日常を想像することができます。

石段から見える高知城

ひろめ市場で味わう「高知の賑わい」

高知市内を観光した後は、ひろめ市場にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。ひろめ市場は、高知の食文化がギュッと詰まったグルメスポット。
市場といっても、いわゆる「お土産市場」ではなく、屋台スタイルの飲食ブースがぎっしり並び、好きなものを好きなだけ楽しめる場所です。

朝から晩まで、地元の人も観光客も一緒になって賑わい、テーブルを囲めば自然と会話が生まれます。
鰹のたたきはもちろん、串焼き、餃子、ラーメン、お刺身、クラフトビールまで、ジャンルもバリエーション豊富。

「お酒片手に何軒もハシゴする」という楽しみ方も高知らしいスタイル。
気取らず、にぎやかに、自由に。そんな雰囲気が、ひろめ市場の魅力です。

多数の屋台が並ぶひろめ市場
激しく燃える藁焼き
輝く鰹のたたき

桂浜と坂本龍馬 — 海と空に想いを馳せて

桂浜は古くから月の名所として知られ、多くの詩人や歌人に愛されてきました。
白い砂と松林のコントラスト、そしてどこまでも続く水平線。
晴れた日には、空と海の青が溶け合うような絶景が広がり、訪れた人々を静かな感動へと導きます。

浜辺を歩いていると、自然と目に飛び込んでくるのが、太平洋を背に立つ、堂々たる坂本龍馬像。
台座も含めて13.5メートルにも及ぶこの像は、
「世界へと飛び出す志」を表していると言われています。
胸を張り、遠くを見つめる龍馬の姿には、故郷・土佐への誇りと、広い世界への憧れを感じます。

桂浜を見つめる坂本龍馬像
強いまなざしの坂本龍馬像
太平洋を一望できる桂浜

高知の伝統にふれる — 土佐の郷土玩具たち

「鰹車」は、その名の通りカツオの形をした車のおもちゃ。
高知の人々にとって、カツオがいかに身近で大切な存在だったかがわかります。

また、「鯨船」は、かつて高知で盛んだった捕鯨文化を伝えるもの。
勇ましく海に繰り出す漁師たちの姿を、色とりどりの木製の船に表現しています。

さらに「鯨車」も、鯨をモチーフにした可愛らしい玩具で、どれも手作業で丁寧に作られた温かみがあります。

鰹車
鯨船
鯨車

美味しさと温かさに包まれる高知旅

路面電車に揺られて、賑わうひろめ市場で舌鼓を打ち、歴史が息づく高知城や桂浜を訪れ、
そして土佐の郷土玩具にふれる──

高知の旅は、ただ「観光地を巡る」だけではありません。そこに流れるのは、人の温かさ、歴史の重み、美しい自然の香り。
ゆっくりと時間が流れるなかで、心がふわりとほどけていくような、そんな特別な体験が待っています。

美味しいご飯と、心を揺らす出会い。
次の旅先に、高知を選んでみませんか?

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