こんにちは!機長のKです。
皆様にパイロットをもっと身近に感じてもらうために、パイロットあるあるや、コックピットでの面白い出来事などを発信していきます。
普段あまりお客様の目の前に姿を現すことのない我々ですが、コックピットの中やオフィスでは人間味溢れるやりとりが行われております。もちろん、安全運航を守るために真剣勝負の毎日ですが、その中でも面白い出来事もありますので、このブログで発信をしてまいります。
パイロットのコミュニケーション能力
本日はパイロットにおけるコミュニケーション能力についてご紹介いたします。
まず私の勝手な感覚ですが、仕事におけるパイロットのコミュニケーション力はかなり高いと感じています。
私が小学生だったころ、とある転校生がやって来たのですが、転向初日の挨拶をした後、数分で仲間を輪を作っており、その子の鬼のコミュニケーション力を目の当たりにしたことがあります。それに匹敵するくらい、パイロットはコミュニケーション能力が高いです。いや、正確に言うとコミュニケーションを高くする必要があるため、みんな仮面を被ってコミュニケーション能力の高い「パイロットであるもう一人の自分」を作っています。
コミュニケーション能力が高くないと、飛行機を安全に飛ばすための「チーム作り」が出来ないため、おとなしい性格や、恥ずかしがり屋さんなど関係なく、容赦なくコミュニケーション能力を爆上げする必要があるので、みんな仮面を被って、パイロットにふさわしい人格を作っているといっても過言ではありません。(少し盛って言いすぎましたが、過度なストレスを感じない程度に自分の性格を調整し、コミュニケーション力を上げる必要はあります。)
パイロットの数は大手になると数千人という規模になります。年齢層も若手の副操縦士から、大ベテランの機長まで幅が広いですし、昔に比べ飛躍的に女性のパイロットも増えてきました。(昔は操縦桿が非常に重たく、ある程度の力が必要でしたが、今はコントローラーのような感覚で飛行機を操作ができるので、女性も飛行機が扱いやすくなっています。)
そんな性格も年齢もさまざまなパイロットが数千人もいると、「はじめまして」の方がほとんどですし、一緒に飛んだパイロットも、次一緒に飛べる日は当分先の話になることがほとんどです。その為、気の知れたパイロットと飛ぶことは稀で、大半のフライトが面識の薄いパイロットとのフライトになります。
皆さんも、高校や大学で「顔は見たことがあるけど、話したことはない。」という人がいたかと思います。それと同じ状況です。しかし、我々はその状況でも、安全にお客様をお運びするため、チームとして便を飛ばす必要があります。特にパイロットは、機長・副操縦士との信頼と連携が大事です。そのため、たとえ面識が薄くても、「お互いに話しやすい雰囲気」「機長・副操縦士の程よい権威勾配」を作っていかなければなりません。(この程よい権威勾配もなかなか難しいのですが、今度詳しくご紹介したいと思います。)
機長・副操縦士、そしてパイロット一人ひとりがそれぞれの考えで、良いコミュニケーションというものを探しております。副操縦士は大半の機長が大先輩になるので、先輩に対する緊張があります。そして機長も、副操縦士時代に同じ緊張を経験してきているので、副操縦士が話しやすい機長像を常に考えております。このように色々考えながらコミュニケーションを図っていくのですが、コミュニケーションで一番大事なことがあります。
それは、
私も色々試しましたが、やはり挨拶が一番大事!
特に、一番初めの挨拶次第で、その日の9割のコミュニケーションのしやすさが決まると感じております。これは機長・副操縦士、先輩・後輩関係なく、どの人にも当てはまります。
パイロットでの一番初めの挨拶となるのは、”ミート”の時になります。パイロットは出発の数時間前にオフィスへ出社し、アルコール検査などを実施します。その時、その日一緒に飛ぶパイロットと会う「ミート」をするのですが、そこが一番最初の顔合わせになるので、ここで如何に気持ちよく挨拶が出来るかが鍵になってきます。(早朝・深夜問わず)
やはり、心をオープンにしないと、殻に閉じこもってしまう性格の人も多いので、満面の笑みで挨拶をすることによって、「あなたを必要としている」という意思表示を見せると、相手も心を開いてくれると感じております。
「ハイテンションな人だな」「うわ・・・」と思われるのが怖いと感じる方もいらっしゃると思いますが、大丈夫です!根拠はありませんが、大丈夫です!!笑
挨拶をするときは思いっきりいきましょう!変に縮こまってしまうと、それこそ相手が不安になってしまいます。大丈夫。思いっきりの笑顔で挨拶をしましょう。万が一、相手の表情が「ちいかわ」みたいに潤んだ瞳になっていても止まってはダメです!走り抜いて続けることが大事です。
パイロットだからといって、また機長だからといって特別なことをしているわけでなく、むしろ挨拶という一般的な事こそ、安全運航の基盤を作るうえで一番大事な事なのです。
このブログを読んでいただいている皆様も、会社やご家庭などの組織において、関係する仲間や家族が気持ちよく毎日を過ごせるよう、朝一番の挨拶を気持ちよく行ってみてはいかがでしょうか。きっと素敵な人生のフライトになりますよ。
パイロット:K